「五月蝿いよ」 人ごみの中でそう呟いた
話し声、機械音、エンジン音・・・
なにもかも鬱陶しかった
思わず飛び出して走った
人一人いない野原へ

だが
そこでも騒音は鳴り響く
なんなんだ?

見知らぬ街の時計屋に
古ぼけた柱時計
静かに刻む文字盤の中に
映るのは今日の日付
『あぁ・・・そういえば今日はボクの――――』
騒音は止まった

その音はボクの心が鳴らす
「普段の生活」を取り戻すための
警報だった。