ふとした拍子に飛び出してきた
黄色くあせた ヒミツの地図
見覚えのある町の真ん中に
見覚えのある大きな"バツ"
小雨の街を駆けてゆく
傘の代わりにシャベルを持って

着いた頃には雨は止み
積み上げられた砂の山
黒く汚れた箱の中から
僕から僕へのメッセージ
小さな鏡と手紙がひとつ

目印の木もなくなったけど
小鳥の声も聞こえないけど
確かに僕はここにいる
形を全部鏡が映した

割れた鏡はもういらない
古びた手紙はもういらない
過去のカケラはもういらない
心にしまっておいたから
忘れることはもうないから
平らになった砂の山
15年ぶりの街の夜景