精一杯 ただ精一杯
俺は俺を演じているんだ
やたらデカいステージで 大声張り上げて
貰った大事なチケットも握りしめたままで
"行かなきゃいけないんだ!"
チケットを掲げ そう叫んだ
声の余韻も間延びして
舞台には 水の滴る音だけ

既にチケットは売り切れて
彼の舞台は満席で
"行かなきゃ いけないんだ!"
セリフに皆は総立ちで
拍手喝采の嵐
深く頭を下げ 彼は走り出した
大事なあの人の舞台へと
汗で湿ったチケットも
強く握りしめたままで

どうやら全力疾走の彼が
第二幕の主人公