割れたタイルの隙間の
詰まった砂を掻き出すように
心から何かが抜けた
玄関にはもう僕の靴しか残ってない
ヒモはひとつ結びで良い
蝶で飾るほど余裕は無い
ずっと踏んでたスニーカーの踵を
もう一度立て直して ドアを開ける

振り向いてボタンを押す
―――「次の僕」への出発の合図