気づけば僕は そこにいた
「もう無理なんだ」 そう呟く
精一杯背伸びして 見上げた空
無機質な灰色が 僕を突き刺した
風が吹く 木の葉が散る
僕とよく似た 弱虫木の葉

足を踏み出す もう恐れはない
最後に逢えないのは 寂しいけれど
もう行くことに 決めたんだ
僕は目一杯 空気を吸った

初めて見た そこからの景色は
僕に何かを 言いたそうだけど
それに耳を傾ける間も無く
「最後の一歩」を 宙へと踏み出した

ふわりと浮かぶ この身体
そっと目を 開いてみると
かすかに見える キミの横顔と
少しだけ出て来た 雲間の青空
でもそれは たった一瞬で
全て かき消されていく
そして君の顔が 消えてしまう前に
僕は強く 目を閉じた

一言だけ呟く さよなら
その言葉を 最後に
僕はたった数秒間の 「宙の旅」を終え
また新たな旅へと 足を踏み出した