騒々しい駅のホームを通り過ぎる
そんな一瞬の光景の中に見える人々
最終列車の窓を越して見えるその光景はなんら普通と変わりはしない
そう考える一瞬のうちに最終列車は後ろの彼方へとなくなっていった

騒々しい駅のホームに通り過ぎる
そんな一瞬の光景の中に見える人々
最終列車の窓を通して見えるその光景は普段の僕らと全然違っていた
吊革にぶら下がる人々は必死で慌しくてそれが普段の僕とは思えない

静寂を守る駅のホームへ踏み入る
慌しい列車が通り過ぎた後にきっと
最終列車の車内にゆったりと腰を下ろして座る人々が安らかな表情で
終着駅に着くのを待っている時もう一つの列車が横を通り過ぎていく
騒々しく駅のホームに駆け込む列車に
飛び乗る人たちはきっと気付いてない
最終列車の吊革は綺麗だと僕らは知っている筈だった
慌しい列車の吊革は他人の手垢が付いていて汚い筈だ

僕らはあらゆるものを知りすぎて余裕を知らなかったのかもしれない
ただそれを教えてくれたのは最終列車だった
夜でも昼でも最終列車は止まっている
きっと走り出すことはない
それを見つけることが出来るのは
ただいつもの列車から窓を通して駅を眺めるだけだ

僕らは見つけないと過去を正せない
僕らは見つけないと未来を正さない
僕らは知っていないと過ちを繰り返す