夜明けの帰り道 僕が投じた
消えかけの 小さな小さな火は
鋭く天を突く 放物線を描いて
僕の視界から居なくなった

冬の曲がり角 僕が見上げた
曇りがちの 空に浮かぶ月は
柔らかく雲を撫でる 放物線を描いて
僕の視界から居なくなった

玄関の前 開く扉
僕が投げ捨てた 『忘れた何か』は
きっと この心の重力に引かれて
僕の視界に 舞い戻る
僕の世界に 舞い戻る